「冷却実験だけでは断熱材の性能は分からないだろう、加熱実験もしないと!」
断熱材の性能をテストし続けるホームリサーチ社。
冷却実験を中心に、その結果を紹介していた同社に、こんなご意見があったようです。
それならば、ということで、投光器による放射熱実験の動画が公開されました。
熱の伝わり方3タイプ
熱の伝わり方には3タイプあります。
1. 伝導
2. 対流
3. 放射
これまでメインで行っていた保冷剤による冷却実験は、「1.伝導」の実験で、今回の投光器による実験は、「3・放射」についての実験にあたります。
断熱材は壁内部に置かれるため、「2.対流」については、無視しても問題ないと思われます。
断熱材の加熱実験
・各断熱材を段ボールに入れ、上から投光器で加熱
・使用段ボールは冷却実験と同じもの
・投光器で加熱開始後、断熱材内部の経時的な温度変化を記録する
・加熱時間は最大5時間
・30℃・40℃・50℃に到達するまでの時間と、加熱中の最高温度を記録
グラスウール VS 高性能グラスウール
まず、グラスウール10kと、高性能グラスウール32kを比較しました。
ロックウール VS セルロースファイバー
次に、ロックウールとセルロースファイバーの比較です。
5時間加熱した時点で、ロックウールは最高値48.3℃まで上昇し、セルロースファイバーは最高値45.2℃まで上昇しましたが、どちらも50℃を超えることはありませんでした。
スタイロフォーム VS Ⅰ型断熱材
続いて、スタイロフォームとⅠ型断熱材です。
※Ⅰ型断熱材とは、ホームリサーチ社が独自に開発した断熱材です。
フェノールフォーム VS Ⅱ型断熱材
最後に、フェノールフォームと、Ⅱ型断熱材。
※Ⅱ型断熱材とは、ホームリサーチ社が独自に開発した断熱材です。
フェノールフォームと言えば、最も高性能と言われる、熱伝導率最低の断熱材。
しかし、5時間加熱した時点で、フェノールフォームは最高値54.3℃まで上昇。他の断熱材とあまり変わらない印象です。
Ⅱ型断熱材は、最高値でも34.1℃。なんと、35℃を超えることはありませんでした。
Ⅰ型とⅡ型はケタ違い
表にまとめました。
今回の実験は、夏の太陽光の影響を想定した実験です。
冬を想定した冷却実験でも、今回の加熱実験でも、Ⅰ型Ⅱ型断熱材は、他の断熱材とは大きな差が見られました。
断熱材ランキング
熱伝導率の値のみで比較すると、以下の順位となります。
1 | フェノールフォーム |
2 | スタイロフォーム |
3 | グラスウール 32k |
4 | セルロースファイバー |
5 | ロックウール |
6 | グラスウール 10k |
7 | Ⅱ型断熱材 |
8 | Ⅰ型断熱材 |
しかし今回、ホームリサーチ社が実験した測定値で順位をつけると、このようになります。
1 | Ⅱ型断熱材 |
2 | Ⅰ型断熱材 |
3 | セルロースファイバー |
4 | ロックウール |
5 | グラスウール 32k |
6 | フェノールフォーム |
7 | スタイロフォーム |
8 | グラスウール 10k |
この実験結果が全てとは限りません。
しかしながら、様々な状況を想定した冷却実験、放射熱実験。
そして、モデルハウスで計測された実際のデータを解析した限り、信憑性の高い結果であると言えます。
モデルハウスで実証
参考までに、Air断東京モデルハウス(断熱材不使用)の小屋裏に、Ⅱ型断熱材を施工する前と後の、温度計測結果をご紹介します。
←左側が2021年5月30日、断熱材が無い状態の2階温度。
→右側がⅡ型断熱材を施工した後で、2022年5月25日のものです。
断熱材なしの場合、外気温度30℃超えに対し2階温度は27.7℃。
断熱材入りの場合、外気温度30℃、2階温度は25℃を超えませんでした。
小屋裏にⅡ型断熱材を入れただけで、これだけの差をもたらしました。
2023年竣工の九州モデルハウスでは、床下・壁・小屋裏に施工する予定です。
モデルハウスの見学は随時受付しております。
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