遮熱塗料の効果

遮熱塗料の効果 暑さ対策

夏が近づくと遮熱塗料の宣伝が目につくようになります。

屋根や外壁に遮熱塗料を塗ることで

室内温度の上昇を減少するのが目的です。

NASAの宇宙ロケット工学で開発されたとか
日傘効果があるとか
塗料内にセラミック製ビーズの空気の球で断熱効果があるとか・・・

ご存知の通り熱の伝わり方には

「伝導」と「対流」と「放射」があります。

このうちの「放射」熱を跳ね返そうというのが「遮熱」ですね。

少し古い記事ですが『日経ホームビルダー』2008.11号に
興味を引く特集が掲載されています。

『塗料による遮熱効果の違いを確かめる』というものです。

鉄板の上に通常の塗料と遮熱塗料、

そして断熱塗料の3種を白、黒、グレー、赤銅の

各色を塗布して温度計測した結果が

グラフとともに掲載されています。

日経ホームビルダーのバックナンバーで必要なページだけ
コンテンテツとして購入可能です。

驚いたことに白色の一般塗料は同じ白色の遮熱塗料と
表面温度差が全くと言ってもいいほど差がありません!

高価な遮熱塗料を選ぶのなら白い一般塗料で十分。
そんなテスト結果が記載されています。

輻射熱は太陽から地球上に届く電磁波で届けられています。
この輻射熱を遮蔽・反射しようと開発されたのが遮熱材です。

私は昭和60年代の初めに、この遮熱という工法に出会い
アルミ遮熱シートを木造注文住宅でも施工しました。

アルミという素材は”金””銀”に次いで輻射熱を反射する
効果があるそうです。

大阪工業大学の佐藤先生にも意見を聞きにいきました。
京都の産業技術総合研究所(産総研)の先生からも
データのアドバイスをいただきました。

そこで、分かってきたことは輻射熱を反射する遮熱という
考え方は真空状態で効果が発揮されるという事でした。

魔法瓶はガラスに銀を塗布した真空で断熱しています。

真空(宇宙)状態が効果のキモのようです。

そういえばNASAのロケットで開発されたという遮熱材は
宇宙で使用されます。

以来、遮熱が断熱材に代わる素材になりうるのか?
本当に効果があるのか疑問を持ち続けてきました。

どうやら結論は・・・・

使わないより使ったほうがマシ!ということでした。

1990年代から建築業界でアルミ遮熱シートが
ブームになり、今も喧伝されています。

が、『遮熱塗料でもアルミシートでも断熱性能は
わずかな値しか得られない』というのが結論のようです。

まずは断熱材で断熱性能を得る。
その上で遮熱材や遮熱塗料が非常に安価なら
採用してみる。

賢い選択が大切ですね。

遮熱塗料メーカーや塗装業者のPRでは
断熱材が全くない工場や倉庫の屋根に
塗布した結果の温度分布図を表示して
効果を宣伝しているケースが目立ちます。

しかし建築のプロである我々としては
まずは断熱施工することを優先するべき
と思っています。

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